こんにちは sannigoです。いつもありがとうございます。
今回の映画は二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』です。X(旧ツイッター)で二宮の友達を明言しているMrs. GREEN APPLEが悩んで悩んで生み出した主題歌が聞こえてくるだけで鼻の奥がツンとなる病にかかるほど心を奪われる作品でした。
現代に生きる我々がすっかり忘れてしまった日本人の何かを、ほんの少し思い出させてくれるような、日々いろいろあるけど、まずは「今日も笑って生きていこう!」と思わせてくれる本来の戦争映画とは一味ちがった感想を持てる映画ではないかと思います。では、さっそく今回も映画.comの評価から始めていきましょう。
ラーゲリより愛を込めて
映画.comの評価
☆4.0
解説
二宮和也が主演を務め、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男を演じた伝記ドラマ。
作家・辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基に、「護られなかった者たちへ」「糸」の瀬々敬久監督がメガホンをとった。
第2次世界大戦後の1945年。シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは、零下40度にもなる過酷な環境の中、わずかな食糧のみを与えられて重い労働を強いられ、命を落とす者が続出していた。
寒さと飢えの中での重労働に誰もが心を閉ざしていた。中でも戦争で心に傷を負い傍観者と決め込む松田。旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢。クロという子犬をかわいがる純朴な青年・新谷。過酷な状況で変わり果ててしまった同郷の先輩・原。
実に覚えのないスパイ容疑で逮捕された山本幡男もそこに居た。日本にいる妻・モミジや4人の子どもたちのもとへ必ず帰り一緒に過ごせることをひたすら信じ続け耐える。
山本は日本人が古来持っていた仲間を思いやる力強い信念からか、周りの絶望する抑留者の人々を「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」と励まし続ける。
自らを犠牲にしてまでも周囲の人々のために尽くす山本に、多くの捕虜たちの表情も徐々に明るくなっていき、最悪の状態ながらも連帯感が生まれダモンを信じるようになっていく。
山本の妻・モジミ役に北川景子、山本とともにラーゲリで捕虜として過ごす仲間たちに松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕などの個性豊かなキャストの演技が涙を誘う。
2022年製作/133分/G/日本
軍隊・戦争・ドラマ
配給:東宝
劇場公開日:2022年12月9日
公式サイト:映画『ラーゲリより愛を込めて』公式サイト
スタッフ
監督:瀬々敬久
原作:辺見じゅん
脚本:林民夫
企画プロデュース:平野隆
プロデューサー:下田淳行 刀根鉄太 辻本珠子
共同プロデューサー:原公男 水木雄太
音楽プロデューサー:溝口大悟
撮影:鍋島淳裕
音楽:小瀬村晶
主題歌:Mrs. GREEN APPLE
助監督:海野敦
キャスト
山本幡男:二宮和也
山本モジミ:北川景子
松田研三:松坂桃李
新谷健雄:中島健人
山本顕一(壮年期):寺尾聰
相沢光男:桐谷健太
原幸彦:安田顕
奥野瑛太・金井勇太・中島歩・田辺桃子・佐久本宝・山時聡真・奥智哉・渡辺真起子・三浦誠己・山中崇・朝加真由美・酒向芳・市毛良枝
受賞歴
第46回 日本アカデミー賞(2023年)
<ノミネート>
最優秀主演男優賞 二宮和也
最優秀美術賞 磯見俊裕 露木恵美子
引用元:ラーゲリより愛を込めて : 作品情報 - 映画.com
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私の勝手な評価
☆4.5
本来の戦争映画を見て思う「戦争はダメ!」「どうしてこんな酷いことが起きるのだろう?」などの感想はもちろんですが、それ以上に山本の家族へ宛てたハガキいっぱいに綴られた小さい文字、想像を超える寒さと飢えの中での強制労働の中でも帰国(ダモイ)の日を信じ、周囲の捕虜たちにも前を向いて行こうと自身が犠牲になりながらも笑顔を絶やさない姿に感動しました。
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私の勝手な感想
かなり前になりますが、主演を唐沢寿明が演じたドラマで、この映画と同じようにシベリア抑留のにおける制収容所の極寒の中での飢えや栄養失調の中での強制労働の厳しさを伝えていたことがありました。
過酷な強制労働に従事させられた約60万人のうち、1割にあたる約6万人が伝染病などを発症して命を落としたといいます。約60万人と聞いただけでは想像しづらいですけど、例えば昨年12月時点での八王子市の人口が約56万人ですから、八王子市町ごと抑留されていた感じなんです。
そんなにたくさんの人を、まるで冷凍庫のような環境で強制労働をさせるなんて考えるだけでも尋常ではありません。このドラマの中では栄養失調や凍傷など本当に戦争は悲惨なものだったんだと理解させてくれました。
映画「ラーゲリより愛を込めて」では、もちろん戦争の凄惨さは感じますが、それ以上に人間の力強さというか、自然を愛し人とのつながり大事にして、優しく思いやりを持って接するという日本人が古来から持つ”日本人らしさ”が、捕虜たちの死へ向かう不安を、生きるためへの希望に変えていったのではないかと感じました。
映画.comに掲載のインタビュー記事があります。”この映画のようにシベリア抑留のような極限の状況下では疑心暗鬼になり誰を信じてよいかわからなくなり、自身の殻に閉じこもったり、保身のために誰かを売るということは特別なことではなかったと感じますが、こうした疑心暗鬼にかられたとき、何を心の拠りどころとして次なる一手を打とうと心を奮い立たせるのか”と主要キャストへの問いかけが印象的です。
特に共感できた答えが桐谷のものでした。「自然のある場所へ行くかもしれない。地球上において人間よりも圧倒的に大先輩である植物が必ず光の方向へ向かう姿を見て、奮い立つというより『ああ、せやんな』と感じることができて、大先輩に答えを教えてもらう感じになるんです。」という話です。
圧倒的に平凡に変化のない60年というか、何だか理由がわからないけど拗ねたまま60年を生きてきてしまったといつも反省ばかりしているのに前を見ない私です。それでも、ちょっとだけ途方にくれてしまった時は空ばかり眺めています。
雲が流れていたり、渡り鳥の集団が通り過ぎたり、遠くの富士山が雪まみれだったり。時間だけが無駄に過ぎてしまうこの行為は「何の救いにもならない!」と思いながら・・・。
いやいや、この桐谷の言葉を借りれば「地球上において圧倒的に先輩である空は嵐や台風に雷、雪や雹やあられにまみれても、いつもまっさおな空へと戻ります。これって大先輩に教えてもらっていたんだ。」という感じだったのかもしれません。
世界の一部では現在も凄惨な戦争が実際に行われています。そしてSNSなどでは常に日本における戦争への懸念が語られています。この映画を見終わってもまだすすり泣きがおさまらなかった皆さんは何を感じたのでしょうか?
二宮登場からすでに涙を流していた私にとっては、これから生まれてくる子どもたち、未来を背負って苦しんでいる働く世代の人たち、そろそろ人生の終わりが見えてきたシニア世代たち、すべての人がどんな逆境にぶつかっても、たとえ自然や人に助けてもらいながらだとしても、自ずと「希望」を持てる力が備わっているはず!そんなことを感じた映画でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。では、またお会いしましょう。