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アラ還女sannigo(さんご)の映画鑑賞の日々を綴っています

いったいどういうこと?と思って観た『ある男』、小説も読んでみたくなった

こんにちは sannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。

今回はAmazonプライム特典で無料で観れた妻夫木聡・安藤サクラ・窪田正孝などの主演級の俳優がそろった『ある男』、2022年の作品です。

 

この世の中、自身の出自に多少なりとも引け目を感じている人は多いと思う。だけど、この映画で窪田正孝演じる「大祐」ほど、自身を痛めつけないと日々を送ることもできない、息をすることさえ辛いと感じている人は、多分この映画は観ていないのではないだろうか。もし観ているのなら、何かしらの助けになるかもしれない。

 

大きな、大きな地球で同じようにオギャーと生まれてきたちっぽけな生き物の仲間のはずなのに、誰一人として同じ人生を歩むものはいないし、何事もない人生を歩むことができるなんてあり得ない。

 

だけど、生きていく中で起きる出来事はそれぞれにとって大きすぎたり、小さかったり。そりゃ、大きすぎる何かに押しつぶされて生きることをあきらめたくなる人もたくさんいるだろう。

 

逆に、いつも笑顔で感謝の心を忘れず明るく力強く、すごくたくましく生きているように見える人も多い。私はこの映画を観たあと、なぜか森山直太朗氏の「生きてることが辛いなら」を口ずさんだ。

 

♪生きてることが辛いなら いっそ小さく死ねばいい
恋人と親は悲しむが 三日と経てば元通り♪

 

では、さっそくいつものように『ある男』について映画.comの解説からはじめて、最後は自分勝手な感想を記してみましょう。

 

いったいどういうこと?と思って観た『ある男』、小説も読んでみたくなった

 

 

ある男

 

ある男

 

解説

 

芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラーを「蜜蜂と遠雷」「愚行録」の石川慶監督が映画化し、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝が共演したヒューマンミステリー。

弁護士の城戸は、かつての依頼者・里枝から、亡くなった夫・大祐の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。

里枝は離婚を経験後に子どもを連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐と再婚、新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、大祐は不慮の事故で帰らぬ人となった。

ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明したのだ。城戸は男の正体を追う中で様々な人物と出会い、驚くべき真実に近づいていく。

2022年製作/121分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2022年11月18日

引用元:ある男 : 作品情報 - 映画.com

サスペンス・ロマンス・ドラマ

公式サイト:映画『ある男』公式サイト | 11月18日(金)全国ロードショー

 

映画.comの評価

 

☆3.7

 

スタッフ

 

監督 石川慶

原作 平野啓一郎

脚本 向井康介

音楽 Cicada

 

キャスト

 

妻夫木聡  城戸章良
安藤サクラ 谷口里枝
窪田正孝  谷口大祐
清野菜名  後藤美涼
眞島秀和  谷口恭一
小籔千豊  中北
坂元愛登  悠人
山口美也子 武本初江
きたろう  伊東きたろう
カトウシンスケ 柳沢
河合優実  茜
でんでん  小菅
仲野太賀  谷口大祐(本物)
真木よう子 城戸香織
柄本明   小見浦憲男
小野井奈々 花

 

受賞歴

 

第46回 日本アカデミー賞(2023年)

 

[受賞 ] 
最優秀作品賞     
最優秀監督賞    石川慶
最優秀脚本賞    向井康介
最優秀主演男優賞    妻夫木聡
最優秀助演男優賞    窪田正孝
最優秀助演女優賞    安藤サクラ
最優秀録音賞    小川武
最優秀編集賞    石川慶

[ノミネート]    
最優秀助演女優賞    清野菜名
最優秀撮影賞    近藤龍人
最優秀照明賞    宗賢次郎
最優秀音楽賞    
最優秀美術賞    我妻弘之

 

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自分勝手な評価

 

☆3.8


あらすじ

 

里枝(安藤サクラ)の登場シーンは、文房具店で商品を整理しながら何かを思いつめた様子で涙をこぼしている。

 

パリッとしたスーツを着た弁護士の城戸(妻夫木聡)が、かつて依頼を受けたことがある里枝のもとへやって来て、亡くなった夫「大祐(だいすけ)」(窪田正孝)の身元側査という奇妙な相談を受ける。

 

数年前、里枝は離婚を経て、子どもの悠人(坂元愛登)を連れて故郷に戻り、実家の文房具店を訪れる「大祐」と出会った。大祐は絵を描くのが好きで描いた絵を里枝に見せるようになり恋愛に発展し再婚する。

 

里枝は、悠人と、子どもをかわいがる「大祐」と、新たに生まれた花(小野井奈々)と4人で幸せな家庭を築いていた。

 

「大祐」は地元住民から暗い人と陰で言われながらも、林業の先輩から仕事を教えてもらい覚えもよく仲間から「大祐たのんだよ」と信頼されるような人物だった。

 

ところが、ある日偶然にも悠人と一緒に山に出かけた日に、「大祐」は倒れてくる大木に挟まれ命を落としてしまう。

 

悲しみに暮れる中、「大祐」が里枝や家族にあまり話さなかった身内である大祐の兄の恭一(眞島秀和)が法要に訪れるが、長年疎遠になっていた様子がよくわかるような登場だった。

 

そんな恭一がお線香をあげるため、仏壇の前で「写真を置いてやらないんですか?」とキョロキョロと辺りを見回すと、里枝は「ありますよ。これです」と指をさす。

 

その遺影を見て恭一は「これ、大祐じゃないです」と、これまでの暖かい家族のシーンから、ぐわっと場面を転換するきっかけとなる衝撃の事実を告げる。「大祐さんです」「いや、ちがう」と何度か言い合ううちに、少しず真実に気づいていく。

 

愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ・・・。

 

「大祐」として里枝、悠人、花と家族として生きてきた「ある男」は、いったい誰だったのか、なぜ別人として生きていたのか、どんな人物だったのか。

 

相談を受けた弁護士城戸は「大祐」のことを「ある男“X”」と名づけ、かつて幸せに暮らした家族だった「ある男」の正体を追い“真実”を求めていく。

 

真実に近づくにつれて、いつしか別人として生きた男への複雑な思いが生まれ、自身の出自を思い、家族との関係にも変化が生じてくる。

 

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ある男

 

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自分勝手な感想

 

まず、この映画「ある男」に関して、いつも観る映画のように、俳優さんたちの一挙一投足からラストはこんな感じだろうと急いで探ることができない映画だったことを記しておきましょう。

 

当然の事ながら、主役を張っているようなベテラン俳優さんたちの演技を侮ることなかれということです。

 

サスペンスのような、ドラマのような、ドキュメンタリーのような不思議なタイプで、最後まで弁護士城戸と一緒に結末を求めていった感じです。

 

映画の始まり、里枝を演じる安藤サクラが何かしら噛みしめながらはらはらと涙を流すシーンでは、こんなに早く切ない場面へと突入していくのか?と身構えてしまったけど、大丈夫!しばらくは平和なシーンが続きます。

 

やばいのは、「大祐」の疎遠だった兄である眞島秀和演じる谷口恭一が、「写真おいてやらないんですか?」からです。

 

そこから、怒涛のように「大祐」の救いのない人生が映し出されます。(窪田正孝という俳優にこういう底知れぬ虚ろさ・苦しさを演じられたら、そりゃあもう観ているこちらもずしっと重い荷物を背負わされてしまいますのでご注意ください。)

 

本当にそこには助けてくれそうな仲間もいたのに、だけど、そんなことでは息もできないほど苦しい人生なんです。自分を痛めつけることでしか生きていけない人がいるんです。

 

これからの感想はきっと的から外れていると思いますが、タイミング的にクルド人のニュースを最近youtubeで見ていたので単純に感じたことです。

 

田舎に住んでいるおかげというか、あまり外に出ないせいか、日本に外人さんが増えているという現実を知らない、実感がない私にとって「埼玉・川口市クルド人めぐり異例の訴え」のニュースはびっくりだったし、こんなに日本は変わっていたの?と驚愕しました。

 

ネットで調べてみると令和5年6月末現在における在留外国人数は322万3,858人で、前年末と比べ14万8,645人(4.8%)増加しているとのこと。

 

出生数が年々減っている日本。2023年の出生率は▲5.8%減、出生率は1.20前後に低下しているのだから、外国の方に助けてもらうしかないのですが・・・。

 

1シーンに、「大祐」の兄・谷口恭一と里枝の前で弁護士城戸が、一度書類か何かでテーブルをたたいて「バーン」と大きな音をたてて立ち上がり言った「名前を変えてまで生きなくてはならない人、生きるのがつらい人は存在するのだ」みたいなセリフがあったと思います。その通りです。

 

1万年以上続いた縄文時代は争いのない時代だったと聞きます。もちろん、彫りが深くて二まぶた、眉やひげが濃いイケメンだから争いがなかったわけではないでしょう。

 

自然の恵みが豊富で、必要な分だけ獲ればよかったから、現代のように貧富の差もなく、大きな争いが起きなかったと言われています。つまりは、「足るを知る」ということでしょうか?

 

弥生時代からは米は蓄えるし、親分が人を働かせて米を作るという支配する人、支配される人に分かれるようになり、貧富の差も開いてきたことにより、差別が生まれてきたのです。

 

現在の私たちが弥生時代のまま差別を続けて生きていくのは不可能です。だって、子どもが生まれないから人口も減る。私を含む高齢者は多いし、団塊の世代の後期高齢者はこの先減っていくばかりで、働き手がいません。

 

何か良い手があればいいのですが、どなたかのおっしゃるように高齢者の集団自決をもってしても間に合わないでしょう。だったら、理想としてはあらゆる差別なしで仲良くいきたいもんです。そんな思いを深くした映画でした。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。では、またお会いしましょう。