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アラ還女sannigo(さんご)の映画鑑賞の日々を綴っています

映画『余命10年』で涙を流したら、人生やり残すことがあってはいけないと思い始めた

こんにちはsannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。

今回アラ還の私がおすすめしたい映画は、美しい小松菜奈とイケメン坂口健太郎が初めて共演した『余命10年』です。

 

クリスマスや年末・年始に見ると、涙がこぼれ過ぎて困ってしまうかもしれません。が、かなり重いタイトルだというのに、病と戦いながらも悩み、苦しみ、それでも前へ進んだことで、一人の男性と出会い幸せを知り、もっと生きたくなった女性をやさしく描いているせいか、見終わった瞬間から不思議とやさしい気持ちで満たされる映画です。

 

『余命10年』を見終わって知ったのですが、著者の小坂流加さんは、大学卒業後に難病を発症し、長年継続してきた執筆活動に専念。文芸社に自費出版の持ち込みを行い、「余命10年」の書籍化を決定させ、その後、小説『余命10年』を残し、17年にこの世を去られてしまったそうです。

 

大学を卒業して「さあ!これから」という時に無念の難病発症で、さぞや悔しくもどかしい思いをされたことでしょう。

 

そんな思いを置いてきぼりにしたまま、「余命10年」の宣告を受けた彼女。その後の執筆活動には、どれほどの思いが詰まっているのかと想うと、この映画をもっとしっかりとした覚悟で見なくてはいけなかったのでは?と反省しているところです。

 

実際に、「小松菜奈というモデルさんのような女優さんと、さわやかイケメンの坂口健太郎さんの恋愛映画でしょ」って感じで見始めてしまったけれども、主人公の茉莉(まつり)の余命を知ってしまったゆえの生きづらさ、幸せの感じ方、死への恐怖、和人への思い、和人の未来への思いなどなど、ヒシヒシと伝わってきた映画でした。今回ネタバレしてしまいます。ご注意ください。

 

映画を見た後に、なんとも不思議なやさしさや、生きる希望をもらえたと感じた私の勝手な感想の前に、映画.comの評価から始めましょう。

 

映画『余命10年』で涙を流したら、人生やり残すことがあってはいけないと思い始めた

 

 

 

映画「余命10年」

 

 

余命10年

 

映画.comの評価

 

☆3.7

 

解説

 

SNSを中心に反響を呼んだ小坂流加の同名恋愛小説を、小松菜奈と坂口健太郎の主演、「新聞記者」の藤井道人監督がメガホンで映画化。

 

数万人に一人という不治の病で余命が10年であることを知った二十歳の茉莉。彼女は生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めて生きていた。

 

そんなとき、同窓会で再会したのは、かつて同級生だった和人。別々の人生を歩んでいた二人は、この出会いをきっかけに急接近することに。

 

もう会ってはいけないと思いながら、自らが病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。

 

「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。思い出の数が増えるたびに失われていく。

 

残された時間。二人が最後に選んだ道とは……? 


脚本は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の岡田惠和と「凛 りん」の渡邉真子。「君の名は。」「天気の子」など新海誠監督のアニメーション映画で音楽を手がけてきた人気ロックバンドの「RADWIMPS」が、実写映画で初めて劇伴音楽を担当。


【スタッフ】

 

監督:藤井道人

原作:小坂流加

脚本:岡田惠和 渡邉真子

製作:高橋雅美 池田宏之 藤田浩幸 善木準二 小川悦司 細野義朗 佐藤政治

エグゼクティブプロデューサー:関口大輔

プロデューサー:楠千亜紀 川合紳二郎 瀬崎秀人

撮影:今村圭佑

音楽:RADWIMPS

主題歌:RADWIMPSうるうびと

助監督:逢坂元

2022年製作/125分

配給:ワーナー・ブラザース映画

ジャンル:ドラマ

映画.com:余命10年 : 作品情報 - 映画.com

公式サイト:映画『余命10年』オフィシャルサイト

 

【キャスト】

 

高林茉莉:小松菜奈

真部和人:坂口健太郎

富田タケル:山田裕貴

藤崎沙苗:奈緒

明久(父):松重豊

百合子(母):原日出子

桔梗(姉):黒木華

平田先生(主治医):田中哲司

梶原(焼き鳥屋店主):リリー・フランキー

 

勝手なあらすじと感想

 

数万人に1人という不治の病に冒され余命10年を宣告された20歳の茉莉(小松菜奈)は、できる限り生きることに執着しないよう、中でも恋だけはしないことを心に決めます。

 

「余命10年」、長いようで短くて、短いようで長い中途半端な10年、退屈で退屈でそれならいっそ早く死にたいと思った彼女の「闘病ではなく、病気と向き合う日々」が始まります。

 

ところがある日、地元の同窓会に出かけた茉莉は、イケメンで気の弱そうな和人(坂口健太郎)と出会います。

 

和人は、親とほぼ絶縁状態、仕事を首になったばかりで誰もが絶望しがちな状態なのに、なぜか同窓会に参加。

 

そして、和人は同窓会で久々に会ったみんなを見てこう感じます。「みんなはそれぞれの人生をしっかり生きている」「おれだけ駄目なんだ」。

 

追い打ちをかけるように登場したタイムカプセル、和人のカプセルには「大人になっても元気に生きてください」というなんとも微妙な文章。

 

一方、茉莉は就職しようと面接に出かけるも・・・の結果。通院先の主治医平田(田中哲司)に「働けないし暇」と愚痴をこぼします。

 

和人が自殺未遂?

 

なぜか同窓会で登場した同級生タケル(山田裕貴)に、和人の入院先の病院へ連れて行かれてしまった茉莉。

 

タケルの「どうして親は来ないの?」という質問に、和人は親とはほぼ絶縁状態なことや、仕事を首になったことなどを告げ、死にたかったと告げます。

 

それを聞いていた茉莉は、一言「それってずるい」と言い放ち、病室から飛び出していきます。

 

退院の日、和人は院内で茉莉と母の百合子(原日出子)を見かけ、退院祝いの席で病院で見かけたことを告げ「お母さん病気なの?」と尋ねるのですが、この言葉が功を奏し茉莉は笑顔で和人と言葉を交わせるようになったのです。

 

それは、茉莉は自分の病気のことが知れたかとハラハラしていたのに、和人は母親が病気だと思ってんのかよ!笑える!って感じで一気に緊張が解けたからでしょう。

 

夜の美しい桜の下を茉莉と和人は、楽しそうに話しながら歩いています。これからどうするの?と尋ねた茉莉に「仕事見つけてちゃんと家賃を払う」と笑顔で話す和人。

 

「私もがんばるからもう死にたいなんて考えないでください」と告げた途端に、満開の桜の下で突風が吹き、花びらは舞い上がり、二人が恋に落ちたことを私たちに予感させ、今後を期待させます。

 

和人と出会い恋に落ちたことで、茉莉の「最後の10年」は大きく変わっていきます。友人の沙苗(奈緒)が働く会社でコラムのWEBライターとして働き出したのです。

 

☆ネタバレあります。ご注意ください☆

 

和人も徐々に変化を見せます。タケルいわく「東京の父」という焼き鳥屋店長の梶原(リリー・フランキー)のもとでバイトを始めます。

 

タケルと沙苗、和人と茉莉人ではしゃぐ海、 和人の慣れない焼き鳥の串さし、華やかなクリスマス、母百合子と父明久(松重豊)に姉桔梗(黒木華)、そして、和人も加わり茉莉の家族と囲むおせち、付き合い始めたタケルと沙苗。と、次々な映像とともに、和人と茉莉が一緒に過ごす季節が楽しげに回っていきます。

 

楽しい事ばかりではありません。心配してくれている姉の結婚式、偶然トイレで聞こえてきたのは「あと持って3〜4年」という「茉莉の命の期限」。

 

店長の梶原から和人は独立を促され、「今が楽しいからいいかな」と笑顔で応えるほどたくましい男に変わってきた和人、「引きこもり状態で汚れまくりの部屋」が、今はきれいに片付いています。

 

その部屋に茉莉を誘い「全部まつりちゃんのおかげです。ぶっちゃけおれってどんな存在?」と聞く和人に「わかんない」と答え、ハグされると「ごめん帰ります」と逃げ出す茉莉。

 

きっと、この時はまだ「恋を始める」つもりがなかったのに、どうしよう?好きになっちゃった?って感じだったかも。

 

病気と恋の狭間で雨の中泣きながら家に帰った茉莉は、鏡の前で上着を脱ぎ、胸に広がる大きな「手術の傷跡」を悲しげに見つめます。

 

体長悪化で入院、「好き一緒に居たい」と言い募る和人に、「なんにも知らないのに決めつけないで」と拒否する茉莉に、今度は「わからない」「何か悪いことした?」と病気が治らないことをまだ知らない和人が思い悩みます。

 

今度は家で倒れた茉莉を病院へ運び、ベッドサイドで見守る父と母、そこへやってきた和人は茉莉の父親から「一緒に居てやってくれ」と促されます。

 

茉莉が目覚めるとそこには手を握ってくれている和人が。照れくさそうに父から言われたからと言い訳する和人。

 

茉莉がいよいよ病気のことを和人に話す時がきました。胸に残る手術の跡のことを告げ「会いたくない、もう来ないで」と。きっと胸中は複雑だったのでしょう。

 

何もかも終わったような顔をした茉莉が退院。肺移植を勧める姉と母に声を荒げ「あきらめて!もうできることはすべてやったのよ」と、泣き崩れる姉に向かって「私たちってどっちがかわいそうなんだろう」と言い放つ茉莉。

 

久々に出かけ、気分を変えようとしていただろう茉莉に、友達は心臓に障害のある人を交際相手にとすすめます。

 

茉莉とうまくいかない和人に、店長の梶原は「愛する人に出会えるなんて運がいいよ」と言います。それを聞いた和人は帰って良いと許可をもらい、茉莉を探し始めます。

 

心臓に障害のある人を交際相手にと勧められ、「茉莉ならお互い気持ちがわかるだろう」と言われたのが堪えたのか、茉莉はやけ食いしてトイレで泣きまくります。

 

やっと茉莉に会えた和人は、「夢ができた。俺の人生は人から見たらつまらないかもしれない。でも、となりには茉莉ちゃんがいる」と思いの丈をぶつけます

 

「これからは俺が守るから一緒にいてください。好きです」なんて、当時皇太子だった今の天皇陛下が雅子さまにプロポーズした時おっしゃたようなことを言ったものだから、大いに笑った私を尻目に抱き合う二人。泣きながら寒いねと和人の肩をこする茉莉がかわいい。

 

再び楽しげに季節が回り始めます。酸素吸入しながら小説を書き始めた茉莉、二人で過ごす年越し、満開の桜、手をつないで買い物に出かける夏、消えてほしくない線香花火、落ち葉舞い散る秋、厳かな初詣、扇風機が回っている夏。

 

何度も体調を崩しながらも、茉莉は「大丈夫じゃないから書いてみた」と小説を書き終えます。和人は病気が治ると思っているからと。

 

「まだやり残したことがある」とドクター平田に告げ、和人とスノボーに出かけるための注意事項を聞く様子を後ろで見守る姉は、その姿に泣き出し、診療室をそっと出ていきます。

 

いよいよ和人と雪山へやってきました。スノボーを勧める和人に「病気なの」と笑い、二人で遊ぶソリは雪の上で大きく転倒。

 

こんな雪の上でかっこ悪いけどと、いきなり雪の上に正座して指輪を出してプロポーズ。答えは「カッコ悪かったからダメ」

 

ベッドで優しく抱き合ったあと、和人を置いて出ていく茉莉。「ずっと嘘ついてた、治らない病気なの。もういっしょに居れない、さよなら。和人と出会ってすごい楽しかった。だけど、もう、これ以上一緒に居たら死ぬのが怖くなる」。「余命10年」は長いようで短くて、退屈で早く殺してくれと思った。彼女にしてくれてありがとう。

 

家に帰って母親の肩で泣く茉莉。「病気を知って最初に私たちが泣いてしまったから、茉莉はこれまで泣けなかったね」と詫びる母。遠くで見守る父。「もう泣いていいんだよ。怒っていいんだよ」。「死にたくない」と泣き続ける茉莉。

 

2019年病院のベッドを訪ねた沙苗は、タケルとは別れたと告げます。茉莉の本を出版する仕事をしっかりとやり遂げるためだと言います。

 

洗濯物を届けにきた姉は、茉莉の書いた小説のモデルどおり妊娠したようです。「でも生まれるまで生きられるかな?」と姉に詫び、いろいろ生きるために調べてくれたことへの感謝を初めて告げます。泣きくずれる姉。

 

『まつり』という名の店の出店を計画する和人は忙しそう。ようやく『まつり』開店の日を迎えると、タケルもお祝いに駆け付け、元カノの沙苗は、再来月発売予定の茉莉の本の原稿を渡します。

 

その頃、思い出の動画をひとつずつ消去するベッドの茉莉。次から次へと現れる「余命10年」でさえなかったら、現実になったであろう「海で遊び、結婚式を挙げ、出産し、桜の下で子供と一緒に3人で遊ぶ」幸せそうな姿たち。

 

「ピッピッ、ピッピッ」命をつなぐ機器が、赤いライトを点滅し始めます。

 

オープン初日を無事終えた和人は、沙苗から渡された「余命10年」の原稿用紙を見つめます。

 

茉莉はICUに運ばれます。

 

「余命10年」を読み終えた和人は、泣きながら茉莉のもとへ自転車を走らせます。

 

「大好きだよ」のナレーションで涙を一筋流す茉莉

 

ようやく茉莉のそばにたどり着いた和人は、茉莉の手を握りしめ自分がオープンした店の名は『まつり』だと伝えます。

 

「茉莉ちゃんがんばったね」と泣きながら繰り返す和人。うっすらと目を開いた茉莉。かすかにうなずいたように見えたのですが・・・。

 

「余命410年」の本が書店に並び、手に取る和人。

 

桜の花の下で和人がカメラを回し始めると、あの突風が。初めて手を繋いたあの日を想って、ちょっと笑って歩き出した和人。

 

想像するに、和人はきっと「もう大丈夫!そばに茉莉がいてくれるから、死にたいなんて言わないよ。俺がんばる」と、胸の中の茉莉に語りかけていたのでは?

 

映画の中で何度も登場する回想シーンや未来予想図みたいなものが、本当に見てて泣けるんです。この映画、実は1年間を通して撮り続けていたそうで、春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の。とそんな感じで、季節の美しさを大事に伝えてくれていたのです。

 

「余命10年」ともし言われたらという質問に、主演の小松菜奈さん、坂口健太郎さんふたりともが、その事実を告げられる時の年齢でだいぶ違うかも!?と答えています。

 

茉莉さんが、事実を告げられたのは20歳です。年配の人がパワハラまがいに若者たちに向かって「年をとってみろ。時間が嘘のように早く過ぎていくから」と20歳の子には「のんびりしていたらあっという間に30歳だぞ」だとか「若いのもの今のうち、あっという間に50歳だぞ」なんて言うのを聞いたことがありませんか?いくらかでも年齢が上がれば上がるほど、年月の流れは早く感じるのかも知れません。

 

だとしたら、20歳でこれからという時に言われる「余命10年」は、酷なほど長い時間の猶予を与えられてはいるものの、限りはあるんだぞ」という諦めを感じるに十分な告知だと思いませんか?

 

でも、そこであきらめて心を閉ざし、部屋に引きこもってしまったらおしまいです。茉莉ちゃんのように、とりあえず外に出て行動しなくちゃ!ってことを、「主人公の命をかけた日々から掴んだ幸せ」を通して、私たちに教えてくれているような気がします。

 

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最後までお読みいただきありがとうございます。では、またお会いしましょう。