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アラ還女sannigo(さんご)の映画鑑賞の日々を綴っています

帚木蓬生原作の小説「閉鎖病棟」は映画になっても優しさがあふれている

こんにちはsannigo(さんご)です。いつもありがとうございます。

どんな人にも平等にかならず朝は来るけど、やさしさにあふれた人たちややさしく作られたもの、やさしさに包まれた場所には、もっとすてきな朝がやってくるんだろうな。と感じた映画『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』について書いていきたいと思います。

 

帚木蓬生原作の小説「閉鎖病棟」は映画になっても優しさがあふれている[写真AC]

 

 

 

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー 

 

居場所をなくした人々が、

ここで出会い、

ここで癒され

ここからまた自らの人生へ

旅立ってゆくー

その優しさを、あなたは咎めますか?

 

STORY

 

長野県のとある精神科病棟。

それぞれの過去を背負った患者たちがいる。

母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生きながらえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。

サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れだすようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。

父親からのDVが原因で入院する女子高生の由紀(小松菜奈)。

彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。

そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。

加害者は秀丸。

彼を犯行に駆り立てた理由とは・・・・・・?


公式ページ:映画『閉鎖病棟 ―それぞれの朝―』公式サイト

 

映画.comの評価

 

閉鎖病棟-それぞれの朝-


☆3.4 

特別なものはなにもない感じ、すべてが普通に描かれているから余計に普通のやさしさが感じられる映画だと思うので面白みとかを求めて観る映画ではないのかも?そんなことからの☆3.4かな?

 

解説

 

山本周五郎賞を受賞した帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)のベストセラー小説「閉鎖病棟」を、「愛を乞うひと」の平山秀幸監督・脚本で映画化。

長野県のとある精神科病院にいる、それぞれの過去を背負った患者たち。

母親や妻を殺害した罪で死刑判決を受けたものの、死刑執行に失敗し生きながらえた梶木秀丸。

幻聴が聴こえて暴れるようになり、妹夫婦から疎まれて強制入院させられた元サラリーマンのチュウさん。

父親からのDVが原因で入院することになった女子高生の由紀。

彼らは家族や世間から遠ざけられながらも、明るく生きようとしていた。そんなある日、秀丸が院内で殺人事件を起こしてしまう。

 

笑福亭鶴瓶が秀丸役で「ディア・ドクター」以来10年ぶりに主演を務め、秀丸と心を通わせるチュウさんを「そこのみにて光輝く」の綾野剛、女子高生・由紀を「渇き。」の小松菜奈がそれぞれ演じる。

 

2019年製作/117分/PG12/日本
配給:東映

 

スタッフ

 

監督

平山秀幸

原作

帚木蓬生

 

閉鎖病棟 (新潮文庫)

閉鎖病棟 (新潮文庫)

 

 

脚本

平山秀幸

 

キャスト

 

梶木秀丸:笑福亭鶴瓶

塚本中弥(チュウさん):綾野剛

島崎由紀:小松菜奈

丸井昭八:坂東龍汰

キモ姉:平岩紙

ムラカミ:綾田俊樹

ダビンチ:森下能幸

ハカセ:水澤紳吾

テッポー:駒木根隆介

フーさん:大窪人衛

オフデちゃん:北村早樹子

おジギ婆さん:大方斐紗子

ドウさん:村木仁

島崎佳代:片岡礼子

島崎伸夫:山中崇

塚本富子:根岸季衣

酒井:ベンガル

大谷:高橋和也

石田サナエ:木野花

重宗:渋川清彦

井波:小林聡美


受賞歴

 

第43回 日本アカデミー賞(2020年)

<ノミネート>

最優秀作品賞

最優秀監督賞 平山秀幸

最優秀脚本賞 平山秀幸

最優秀主演男優賞 笑福亭鶴瓶

最優秀助演男優賞 綾野剛

最優秀助演女優賞 小松菜奈

 

引用元:閉鎖病棟 それぞれの朝 : 作品情報 - 映画.com

 


勝手なあらすじと感想

 

私の勝手な採点

 

☆4.5

 

勝手なあらすじ

 

最初から秀丸の死刑執行シーンでかなりインパクトがあり、この場面ではすでに映画に引き込まれていた。

 

死刑執行の失敗で蘇ってしまった人はこのあとどうやって生きていく道があるのだろう?きっと題名にある通り閉鎖されたところで心も体も閉ざして死んだように生きていくしかないのだろうと想像していた。その想像は見事に裏切られた。

 

次のシーンで生きながらえた元死刑囚の秀丸が、車椅子ではあるけれど穏やかな表情で陶芸小屋のようなところで焼き物を焼いていたのだ。

 

誰よりもどん底のはずの秀丸が人に優しく接していて、まるで憑き物が落ちたようなもしくは僧門に入ったかと思えるほどの穏やかな表情で。

 

綾野剛演じる塚本中弥(チュウさん)という幻聴に苦しんでいる元サラリーマンも 秀丸がいる工房へしょっちゅう顔を出したり “事情をかかえてない人間なんていないから”とうまくしゃべれないけどカメラで写真を撮ることが大好きな昭八やDVで口をきかなくなり入院してきた由紀(小松菜奈)にもいつも手を差し伸べているやさしい人。

 

入院してきた小松菜奈演じる由紀は義父からDV以上な屈辱を受け続けて、しかもその屈辱をも本当の母からは諌められるという壮絶な過去を秘めながら閉鎖病棟で暮らし始める。

 

全く普通に見えるチュウさんも普段は服薬のおかげか安定しているけど、突然母親がボケてきたので施設に入れたいという相談をしに来た妹夫婦には納得することができずに幻聴から暴れるという症状が出たりする。

 

そんな症状が出たときの秀丸はチュウさんをそっと見守り、安定したらなにげなく水のペットボトルを差し出すやさしさがある。それを受け取り涙するチュウさんとの心のつながりにはうらやましささえ感じる。

 

穏やかに進行する院内カラオケ大会の日に事件は起きた。楽しそうにそれぞれの患者が楽しんでいるカラオケ大会に薬物中毒らしい重宗(渋川清彦)がやってくる。

 

重宗はみんなに嫌われているのが自分でもわかるからなのか?薬物のせいなのかいつも乱暴な態度と言葉使いで場の空気を乱していたのだが、このカラオケ大会でおとなしく楽しむことができるの?と不安に思っていたらやはり事件は起きてしまった。

 

秀丸は患者たちに感謝されながらも警察に連行されてしまう、後にチュウさんも退院して最後の感動的な法廷の場面へ進む。

 

※ネタバレなしなので感動的な部分はナシでごめんなさい。

 

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勝手な感想

 

”わしは世間に出たらあかん人間や”という梶木秀丸役の笑福亭鶴瓶さんが公式ページのコメントの締めにこうおっしゃっています。「映画に出てくる皆が”自己犠牲”で、優しい方向を向いている。観終わった時、人にやさしくありたいと思える映画です」と。

 

まさにそのとおりでここまで生きてきた自分の人生を反省して、こんなに人にやさしくなれるのが人というものなのなら、私だってもっと人にやさしくできるはずだしやさしくならなくちゃと感じました。

 

”生きづらさを抱える人々に贈る「優しさ」が現代に一石を投じる”と書かれたイントロダクション通りの映画で、こんなに人に対してやさしくできる人たちがこの世に存在していることさえも私にとっては新鮮なできごと。

 

当たり前のことなのかもしれないけど、なかなかこんなに人にはやさしくなれない。
でもこうありたいとも思うし尊敬できる人々が映画の中で息づいています。

 

特に小林聡美さん演じる井波というやさしくも厳しい態度で常に平常心で患者と接して見守るという仕事をきちんとこなしている看護師長にも心が動きました。そう感じることができたことがすでにこの映画のおかげだし、小林聡美というこれまでの出演映画からもうかがえる人間性ゆえなのでは。

 

死刑執行の失敗で生きながらえた秀丸の普通ならどん底のはずの人生が、閉鎖病棟という精神病の患者たちの”自分を犠牲にしてまでも人への「やさしさ」を大切にする”環境で暮らすことができたこと。その環境のおかげで僧門にでも入ったかのような穏やかに暮らせた。

 

という真実に「やさしさ」っていつでも人を救うことができて、薬なんかよりよっぽど大事なものなんだなって気付かされてしまった。

 

原作を書かれた帚木蓬生さんは「閉鎖病棟は思い出深い作品で最後の法廷の場面は書きながら涙が出た。」と話されていて、このシーンを全身全霊で演じた小松菜奈という女優さんにこんなしなやかな強さを演じることができるんだと思いを新たにしました。

 

笑福亭鶴瓶さんはあたりまえにMCもするし演じる噺家さん。

綾野剛さんは先日放送されていたドラマ「MIU404」でも魅せた演技力にスウェット姿でも感じるオーラ。

小松菜奈さんは「孤独でクール」というイメージで演技力も高いという評判。

 

そんな3人の俳優さんがキラキラ感をすべて消して、この映画に望んでいるということにも感動できる映画でした。ちなみに菅田将暉さんと小松菜奈さに共演の映画「糸」をまだ観れていないので観れる日が楽しみ♪

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。